谷川賢作さん

 11月23日(月)セミナー「ただいのちであること」の演者紹介です。

 谷川賢作(たにかわ けんさく)
 ピアニスト/作・編曲家。1960年東京生まれ。私立玉川学園高等部卒業後、アンスクールにてピアノ 及び音楽理論佐藤允彦に師事。在学中から様々なセッションに参加するかたわら ラジオ ドラマ、舞台音楽の作・編曲を手がけるようになる。 1986年市川崑監督作品 「鹿鳴館」に起用されると、そ の後の市川監督の全作品の音楽を担当する。 1988、1995、1997年日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。1995年第40回アジア太平洋 映画祭最優秀音楽賞受賞。1996年 現代詩を歌うグループDiVaを結成、父である詩人 谷川俊太郎とともに全国各地で音楽と朗読のコンサートをおこなう。1999年自己のレーベル「トゥルバドールカフェ」を創設。2001年10人のピアニストにインタビューした「ピアノへ」(ブロンズ新社)を上梓、大変評判になる。2002年3月には詩画集『クレーの天使』(講談社刊)谷川俊太郎+パウル・クレーのピアノと朗読CDをリリース。これが俊太郎氏との初のコラボレートCDとなる。

 
 
 谷川賢作さんのピアノが大好きです。ごく自然に身体に入ってきます。

「聴けと言わないピアノの音が、あるんです。今まで思ってもみなかったことに気づくって、素敵なことです。誰が作ったとか誰がやってるとかそうこととも全然関係なく、ただ音楽はこうしてあって、それがこんなに自分に似合うと思えるのは、この音楽を聴けと言わない自由さがあるからです。・・・」
 賢作さんのピアノを佐渡 裕さんがこう表現されていますが、まさにその通りなのです。皆さんにも賢作さんのピアノの世界を味わって頂きたいと願っています。

 PS 続木力さんと賢作さんのユニット「パリャ−ソ」がとてもいい。是非、CDを聴いてみてください。

 チケットの販売すでに始まっています。おかげさまで好調です。       お申し込み 第2宅老所よりあい 電話092−511−0471

   メールでも可能です。 yoriaiyoriai2@gmail.com

   メールで申し込まれる方は、住所・氏名・電話番号・職業

   をお書き下さい。よろしくお願いします。

 
 

 バザー終わりました。ありがとうございました。

 10月3日(土)のバザーが無事に終わりました。ご協力いただいた関係者の皆さん、品物を提供してくださった皆さん、ありがとうございました。
  
 前日まで雨が降り続き、どうなることかと気を揉んだバザーは今回が初めてでした。天気予報は晴れ。それを信じて準備を進めてきました。

 
 北海道から手伝いに来てくださった、宮田さんと佐藤さん。お二人と「よりあい」は長い付き合いです。(キッツズコーナー、ヨーヨー釣りの準備をするお二人。ありがとう!)

 
 バザーはテント立てから始まります。若き社協マンや施設で働く仲間も駆けつけてくれました。テントが立つと商品の陳列が始まります。ここからは売り子さんが活躍します。
  始まる30分前から行列ができました。
  
 日用雑貨、タオル・シーツ類・陶器などご提供いただいた品物はテントのお店で売りました。お客さんも各家庭に眠っていた品物を吟味して買い物をされます。
 
 初めて行ったキッズコーナー。子どもたちがヨーヨー釣りやジャンボパチンコゲームを楽しみました。お手伝いしてくれる子もいました。
 
 今回、バザー隊長を勤めた末吉さん(職員)。初体験でしたが大成功に導きました。ご苦労様です。
 
 厨房ではそば、カレー、かしわご飯、から揚げと食事ボランティアのみなさんが腕を振るってくださいました。「おいしい!」と評判でした。
 
 お疲れ様でした。収益は70万円を超えました。よりあいの運営費として役だてます。地域福祉向上を目指して頑張ります。今後もみなさまの温かいご支援をお願い致します。 
 第2宅老所よりあい 所長 村荑 孝生 職員一同

 


 

 呼び名

 90歳の外水さんは、職員から「外水さん」と呼ばれたり、「おばあちゃん」と呼ばれたりする。93歳の針江さんは「スミさん」と呼ばれたり、「おばさん」と呼ばれたりする。86歳の町金さんは「町金さん」と呼ばれたり「大先生」、もしくは「お父さん」と呼ばれたりする。その人を呼ぶとき、色んな呼ばれ方がある。
 96歳のフミさんもまた、多くの呼ばれ方を持っているひとりだ。多くの呼ばれ方があるということは、多くの顔を持っていると言える。自宅から第2よりあいにやって来た朝方はみんな「大山さん」と声をかける。大山さんは午前中のうちは機嫌が良い。職員の冗談にも軽く受け答え、みんなも楽しくなる。
 時が経つにつれ徐々に大山さんの様子が変わる。毎日のように「腹がせく」大山さんはお腹をさすりながら眉間に皺を寄せ、「痛〜い」とうなり始める。その横でお腹をさする僕を見て「あら、こんなところで何してるの?早く行かなくていいの?学校でしょ。」と言う。その口ぶりから察すると、どうやら僕は息子になっているらしい。そんな時、僕は大山さんを「母さん」と呼ぶ。
 夜もふけた頃、大山さんは「お母さ〜ん、どこにいるの?」と母親からはぐれた幼子のように半べそになる。その様子から察すると、どうやら大山さんは3~4歳の幼児へと若返っているらしい。そんな時は「フミ、ここにいるから、大丈夫よ」と答える。
 人間は歳を重ねるごとに顔が増える。赤子から始まり、少女となる。やがて妻となり、母であり、祖母であり、元洋裁の先生だったりする。男もしかり。赤子から始まり、少年となる。やがて夫となり、父であり、祖父であり、元課長だったりする。
 老いも極まると、現在から過去へ、過去から現在へと縦横無尽に行き来することができるようになる。タイムスリップしたその時代に応じて、お年寄りたちは顔が変わるのだ。僕たちはそれを察して、その顔に応じた呼び方をする。
 いつも腰の低い町金さんが「君、ちゃんと書類を用意しないと困るよ」と少し怖い顔で職員に迫る。きっと、一生懸命働いた課長時代へとタイムスリップをしているのだ。


 
 ごくらく日誌はミニコミ誌「まいたうん」に所長の村荑が連載しているものです。

 谷川俊太郎さん

 11月23日(月)のセミナー「ただいのちであること」の講師紹介です。

谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう)

 1931年東京生まれ。52年、「文学界」に詩を発表して注目を集め、処女詩集「二十億光年の孤独」を刊行、みずみずしい感性が高い評価を得る。以降文筆業を生業として今日に至る。主な詩集には、読売文学賞を受賞した「日々の地図」をはじめ「ことばあそびうた」「定義」「みみをすます」「よしなしうた」「世間知ラズ」「モーツァルトを聴く人」などがある。また、絵本「けんはへっちゃら」「こっぷ」「わたし」や、日本翻訳文化賞を受賞した訳詩集「マザーグースのうた」やスヌーピーでおなじみの「ピーナッツ」などの翻訳、脚本、写真、ビデオなどさまざまな分野で活躍している。現代を代表する詩人のひとり。

  
 谷川さんとよりあいの出会いはかれこれ10年以上も前に遡ります。よりあいの代表である下村恵美子が参加したセミナーに演者としていらしゃた谷川さんに一目ぼれしたことから始まります。
 「あんな、色気のある爺さん、始めてみた。お尻がきゅ〜っとしまっとる。」それが、下村の第一印象でした。
 詩の朗読をよりあいのお年寄りに聞かせたい。そんな無理なお願いを、快く受けてくださいました。そして、本当に詩の朗読をしてくださったのです。谷川さんの朗読にほとんどのお年寄りは無関心でした。
 「詩は無力だ。」そう谷川さんはつぶやきました。
けれど、「かっぱ、かっぱらった〜」とリズムのある詩を歌うように朗読されるとお年寄りたちもニコニコし出しそのリズムに合わせて踊り出す人がいたことが思い出されます。
 
 セミナーでは谷川さん、下村、村荑が「谷川さんに、聞きたい、知りたい、感じたい」と題してトークセッションを行います。「老い」と「死」、そして、そこから逃れることのできない「個人と社会」の課題と展望が垣間見れたら幸いです。こう言うと難しく感じますが、本来、人と人が関わりあうことは楽しく、わずらわしいもの。そこに介護の面白さがあります。その面白さが共有できたら・・・と思う次第です。

 もちろん、谷川さんの詩の朗読も最高です。是非、お誘いあわせておいで下さい。

 チケットの販売すでに始まっています。おかげさまで好調です。   
お申し込み 第2宅老所よりあい 電話092−511−0471
   メールでも可能です。 yoriaiyoriai2@gmail.com
   メールで申し込まれる方は、住所・氏名・電話番号・職業
   をお書き下さい。よろしくお願いします。

11月23日セミナーの会場紹介

 今回のセミナーは、西南学院大学のチャペルをお借りして行います。場所は早良区西新6‐2‐92にあります。地下鉄西新駅から徒歩5分で到着します。西鉄バスをご利用の方は修猷館前で下車ください。こちらも徒歩5分で到着します。
 ※駐車場はありません。公共交通機関をご利用下さい。

 

 今日、チャペルの中を見てきました。900人が収容できるそうですが、それを感じさせないこじんまりとしたく空間でした。ステージもホールから孤立した感じではなく、演者と観衆が一体となれる雰囲気です。とてもいいセミナー・コンサートになると予感しています。


       
         ホールからステージをのぞむ         

       
        チャペルホールの後方、十字架のぞむ


 セミナーチケットの販売をはじめています。購入希望(3000円)の方はご連絡下さい。
         電話 092−511−0471 
         第2宅老所よりあい

 次回は演者の紹介をしていきます。お楽しみに。

      





 

 セミナーやります

 ただいのちでること −生活の中の老いと死−vol.2

 と き 2009年11月23日(月) 13:00〜18:30 12時受付開始
 ところ 西南大学院大学チャペル
     福岡市早良区西新6-2-29
 入場料 3000円
 主 催 宅老所よりあい・第2宅老所よりあい

    



 13:00〜13:45 講  演 三好春樹
 13:45〜15:00 実践報告 「じいちゃん、ばあちゃんの死」
             宅老所よりあい
             職員 高尾弘行
             家族 井手市世
             医師 二ノ坂保喜(二ノ坂クリニック院長) 
 15:30〜16:45 トークセッション「ただいのちであること」
        谷川俊太郎・下村恵美子・村瀬孝生
 16:45〜17:00 休憩
 17:00〜18:30 音楽テャリティーコンサート
        谷川俊太郎谷川賢作
        西南大学院大学ハンドベルクワイア演奏

 申し込み 問い合わせ 第2宅老所よりあい
            電話092−511−0471


 昨年のセミナーはとても大好評でした。昨年に続き、三好春樹さんをお招きします。面白くて目からウロコの話しが聞けます。
 さらに今回は谷川俊太郎さんと息子さんの賢作さんをお招きしました。
 俊太郎さんと宅老所よりあいの下村、村瀬のトークセッションは奥の深い「老いと死の話し」になることでしょう。
 最後は詩とピアノのコンサートで身も心も癒されて頂きたいと思います。皆さんのおこしをお待ちしています。
             
 

 ごくらく日誌 「奇声」

 ハナコさんは時々、大きな声をあげる。その声は言葉にならず「キヤ〜アアア」だったり「ニヤ〜アアアン」だったり。意味のある言葉ではない。つまり、奇声なのだ。けれど、その奇声には感情がこもっている。その感情は怒りであることが多い。
 怒りのこもった「キヤ〜アアア」が幾度となく立て続けに発せられると、それを聞く側にも同様に負の感情が生まれる。介護を生業としている僕達ですら心の中に渦巻き始める負の感情に平静が保てなくなる時があるのだから、他のお年寄りはなお更である。
特に血の気の多く、喧嘩っ早いテルさんはハナコさんの奇声を聞くや「なんね!あんた、馬鹿やないね、うちは天皇皇后やけんね!東京には行かんけんね!」とこれまた意味不明の大声で受けて立つ。
時には、「キヤ〜アアア」と絶叫するハナコさんの横に飛んで行き、拳を振り下ろそうとすることもあるので、職員が間に割って入り仲を取り持つこともしばしば。そんな関係が続くと、ハナコさんもテルさんの声を聞くと機嫌が悪くなり絶叫するといった悪循環がめぐり始めるのである。
奇声でしかコミュニケーションをとれぬハナコさんと付き合っていくうちに、奇声には意味のあることに気がつき始めた。自分で身動きとれぬハナコさんは他人の手を借りねば生きていく術がない。長時間座り、姿勢が保てなくなると「キヤ〜アアア」。便通が滞りがちとなり、お腹が張ってくると「キヤ〜アアア」。下剤を服用しお腹がグジグジしてくると「キヤ〜アアア」。寝床で目が覚め起き上がりたくなったら「キヤ〜アアア」。思うに任せないので、あの絶叫にはいつも怒りの感情がつきまとっていた。
意味が分かれば対策を講じることができる。ハナコさんが生理的に快適であるように心がける。便秘していないか?お腹はすいてないか?姿勢は楽か?暑くないか?そう配慮するうちに奇声はその数を減らしていった。
テルさんにも変化があった。時たま、発せられる奇声にあまり怒らなくなった。2年近く一緒にいることで、「キヤ〜アアア」という声にテルさん自身が慣れてしまったのである。


地域のミニコミ誌「まい・たうん」に所長の村瀬が連載しているものです。